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目覚める

小川 靖忠 神父

今日の心の糧イメージ

自然界の木々は、春に芽生え、すると、周りが自ずと活気づき、明るくなってきます。新しい命の誕生です。冬眠する動物たちも、再び元気よく野山を駆け巡る姿が見られるようになるのでしょう。いや、すでに、自然界の「交響曲」は始まっています。それにつれて、遅れまいと息づいてくる動植物が次から次です。

自然界にはそのサイクルの中で、毎年「目覚め」の時期が訪れ、それが季節となってわたしたちの身体と心を楽しませ、和ませてくれるのです。その季節も、独自の個性を維持しながら、毎年、飽きることなく繰り返されます。

わたしたち人間はどうでしょうか。最近では、心身の健康についての関心が高まり、「健康寿命」が云々されるようになりました。それにつれて、食事、運動の重要性が、これまで以上に言われるようになってきました。食事バランス、睡眠時間、日常簡単にできる運動の数々と実践法など、毎日のようにテレビ、新聞を賑わせております。

わたしたちの五感でとらえ、わかる世界での「目覚め」には関心が高くなりますが、そうでない「人」としての「目覚め」に対してはどうでしょうか。これまた目覚めたい「健康」の問題です。

心が萎えてしまいますと、体にも大きな影響をきたします。阪神淡路大震災が起きて23年が過ぎました。数多くの犠牲者が出ました。

あの時心の痛手を受けた方々が、「震災当時のことは考えないようにしていたが、これからは子どもたちに伝えていきたい」という思いで、「慰霊と復興のモニュメント」に祖母の名を刻んだといいます。

新たな何かの発見です。そして、それは引き継がれていきます。「目覚める」ことは新しい「発見」につながって、人をさらに豊かにしていくのでは、・・。