ところで、この「愛」と「美」のバラの季節に相応しく、カトリック教会では、5月を聖母の月として聖母マリアに特別の信心をささげます。今や、全世界、聖母マリアを知らない人は、いません。キリストの母として、稀有な出来事を体験し、あらゆる辛酸をなめ、悲しみ、苦しみ、嘆きの母としての姿は、絵画、音楽、彫刻など、多くの芸術作品を通じて、知れわたっています。特に、聖母が天に昇る最後の栄光ある姿は、巨匠グレコなど多くの芸術家によって具現化され、感嘆、畏敬の的となっています。
聖母の被昇天、つまり聖母が霊魂と肉体とともに天国に入ったという教義は比較的新しく、小生が学生時代の1950年、ピオ12世によって定められました。その祭日は、奇しくも、日本人には忘れられない終戦記念日の8月15日となっています。また「終生、処女である神の母、無原罪のマリア」の祭日は、これまた奇しくも日本人には忘れられない太平洋戦争勃発の12月8日。聖母とゆかり深い日本国。聖母の現代的意義を見出し、聖母の愛でる「愛」と「美」の日本国でありたいものであります。