ゆるし・いやし

シスター 山本 久美子

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20代で修道会に入会した当時、年代も育ちも全く違うシスターたちと初めての共同生活を行うことになり、それまで意識しなかった自分の内的傾向や不自由さに気付きました。特に養成期間であったため、いろいろな失敗や間違いがあっても大目に見ていただく場合もあれば、時には厳しい注意や叱責を受けることもあり、いろいろな出来事や他の人の言葉にふり回される自分が惨めになることがよくありました。その頃の私は、まだまだ未熟で、あるがままの自分に向き合い、素直に受け止めることができず、「私はどうせダメだ」と悲観的になり、落ち込みがちでした。

そんな中でも修練期に入り、「自己発見」のワークショップに参加して、主キリストと共に自分自身を静かに見つめ直す機会をいただきました。そして、それまでの人生の主な体験の一つひとつを思い起こし、幼少時の体験によって深く傷ついた自分と、自分の中にくすぶっていた強い感情に気付きました。本来の自分自身に出会い、正直な気持ちを意識した時は、本当に驚き、涙が止まりませんでした。それまで、自分自身をどこかで否定し、責めていた私でしたが、初めて、辛かった気持ちを素直に認め、精一杯生きて来た自分自身を「よく生きて来たね」と受け入れることができたのです。

同時に味わったのは、十字架上の主キリストの深い眼差しでした。

主は、「医者を必要とするのは丈夫な者ではなく病人である」と言われます。(マルコ2・17)主は、私が自分自身と和解し、自分をゆるすことを通して癒しの恵みをくださいました。「主はこの私を癒し、ゆるすために人となり、来てくださった」と、心から実感する体験だったのです。

ゆるし・いやし

熊本 洋

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「慈しみ深い神は、だれでも求める者に、今すぐにゆるしを与えようと待っておられ」(参:詩編86・5)

「もしあなたがたが人のあやまちをゆるすならば、あなたがたの天の父もあなたがたをゆるしてくださるであろう」(マタイ6・14)

これは、旧約聖書と新約聖書からのそれぞれ一節ですが、このような言葉に、現代人がどれだけ真摯に耳を傾けていただけるでしょうか。

目を、天空の世界から、この目まぐるしい現世に向けると、確かに、多くの善意の人々が、正義と平和を願望し、平和実現に、涙ぐましい努力を重ね続けています。しかし、ユートピアはほど遠く、この世の不正、混乱、紛争は絶えるどころか、日々の報道でみられるように、ますます激化、増大。いながらにして何万キロも離れた敵を1発で絶滅させるという恐ろしいミサイルも誇らしげに開発され続けています。この厳しい現実に、目を背けることはできません。多くのか弱い平和を愛する小さな人々は、平安どころか、増大する恐怖に怯え震えていると言っても、言いすぎではありません。まさに、ほっとけない異常事態、重大事態!この際、人々は、どのようにすればよいのでしょうか。

結局は、善意の国民、善意の市民一人ひとりが、人間が本来持っている、心の奥底にある、ゆるし合い、癒し合いの精神を蘇らせ、人類皆兄弟の立場から、心から一致団結、連帯し、人類共存共栄のため、共に祈り、努力を重ねること、これに尽きると思います。

「神よ、あなたのいつくしみによって、わたしをあわれみ、あなたの豊かなあわれみによって、わたしのもろもろのとがをぬぐい去ってください」(詩編51・3)


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