わたしが大神学校にいたときの話です。かなり昔のことです。当時は、外出する時には院長の許可を必要としていました。たまたま後輩といっしょに外出しようということになって、彼が許可をもらいに行ってくるというので、わたしの分も一緒に頼んだのでした。そして外出。帰宅した時、玄関で、ある司祭とばったり。「小川さん、あなたはどこに行ったんですか」「一緒に外出していました」「あなたの外出許可は出ていませんでしたよ」。万事休す。なんと後味の悪いこと。後輩をゆるせませんでしたね。数日間は口もきくことができないほどに腹が立ちました。
若い時は血の気が多いのか、興奮してしまいます。
記憶はしていますが、今は、もちろん、彼のことなど気にしてはいません。心の広さ、深さ、温かさの必要性に気付くには、その人生で、人との出会いがいかに大事であるかが分かります。
自分の中にある怒りがおさまらないと、その事柄から解放されませんし、いやされることもありません。「ゆるすこと」は、すなはち、「いやし」ではないでしょうか。双方にとって、心と体の安泰と健康を保証してくれる、大事な業であるような気がします。