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ぬくもり

小川 靖忠 神父

今日の心の糧イメージ

言葉は、ある時は人の力となり、生きる元気をいただきます。また、その逆に、意気消沈させられてしまうものでもあります。

不思議なことに、傷つけられた「言葉」は、なかなか忘れないものです。だからこそ、ことばは生きものです。

その中で、「ぬくもり」は、実に、わたしたちに和みを与えてくれます。わずかに感じられるぬくみとは、どの程度のあたたかみなんでしょうか。熱すぎず、冷たすぎずのあたたかさとは。ひょっとして、肌に心地よい暖かみでしょうか。この感触を嫌がる人は、多分、いないのではないかと思います。

しかし、「ぬくもり」と聞きますと、物理的な暖かさをいうよりも、「人となり」の温かさが言われているような感じがしてなりません。

わが子をあやしているお母さんの姿は、まさに、温かみに満ちた顔、仕草にあふれています。子どもが病に罹ると、なりふり構わず看病します。それが夜中であろうと、難しい条件下であろうと、ひたすら子どもに向かっています。その姿を見て、わたしたちは、子どもに対する親としての「愛情」を感じます。それは、報いを求めない、まさしく、無上の、無償の愛です。

親子の間はもちろん、恋人同士や仲の良い人との間でも、そのことば、行い、所作等、すべてに「ほんわか」とした空気を感じませんか。本人たちにしか感知できない「ぬくもり」が漂っているのではないでしょうか。それこそ、程よい、気持ちのいい「ぬくもり」です。ここかしこに、こうした空気が流れるよう前に進みたいです。

神は、創造主としてわたしたちに人格を与えられました。裏切られても、拒否されてもわたしたちを愛してくださいます。この神の「ぬくもり」の空気を感じながら生きられたらいいですね。