人間嫌いの人は、人間の愚かさ醜さを軽蔑しているプライドの高い人のように見える。が、その心の底には、他人への怖れや過去に傷つけられた痛みを抱えているのではないだろうか。
反対に、人のぬくもりを快いと感じる人は人間が好きで友人との交流を楽しむ。この人々にとって、ぬくもりとは自分を受け入れてくれる愛情の温度なのである。
まだ人を疑うことを知らない幼い子どもも、ぬくもりが大好きだ。抱っこされると安心して、大人に自分の身体を預けてくる。日頃は子どもに無関心な人も、そんな瞬間は、胸の内に暖かい感情が湧いてくるのではないだろうか。ぬくもりに癒されるのは、実は抱っこしている大人の方なのである。
人間関係に傷つき、疲れてしまったら、幼い子どもや本当に親しい人とぬくもりの時間を過ごしてみれば、心は休まるように思う。それは私たちの中にある「善きもの」が目に見えない姿を現して、人間は信頼するに足りる、暖かい存在なのだと思い出させてくれる時間なのだ。
人を傷つけるのは人であるが、人を癒やすのも人なのである。「善きもの」を宿す人の力を信じていたいと思う。