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始め善ければ・・・

今井 美沙子

今日の心の糧イメージ

私がまだ五島にいた頃、父母に1日の初め、1ヶ月の初め、1年の初めが肝心と、よくいい聞かされた。

夜、眠る前には明日着る予定の洋服を枕許において眠るというのは日課であった。

朝、5時には起こされて、5時半の御ミサにあずかるので、短時間で身支度が出来るようにとしつけられた。

「1日の始めの朝に、さっさと気持ちよく着替えが出来れば、1日中、気持ちよく過ごせるとよ」と父母は子どもたちにいった。

正月を迎える前には、どんなに家計が苦しい時でも、何かひとつは新しいものを買ってくれた。または作ってくれた。

靴下や手袋、マフラー、そんな小物だけの年もあったが、それでも、新しい物を身につけることで、心あらたになるのであった。

そんな私も70歳を迎えた。

2年半前には大腸ガンの手術をした。

夜に手術は終わったのであったが、翌朝、早速に、リハビリの先生が来られて、歩く練習をしますかときかれた。

その時、私は傷口は痛かったけれど、始めが肝心だと自分を励まし、痛みをこらえつつ1歩1歩ゆっくり歩いた。あと、毎日、歩いた。

それがよかったのか、私は回復が早いとほめられた。

大阪には「後でする喧嘩は先にせえ」という言葉があり、夫の両親はよく口にしていた。喧嘩という大げさなものではなく、イヤなことは先のばしせずに、始めにした方がのちのち楽であるという意味で使っていた。

「終わり良ければすべて善し」という言葉があるが、「始め善ければすべて善し」と、今日からいいかえて実行しようと思う。

今日、この一瞬が私が始めて迎える時間なのだから・・・。