正月を迎える前には、どんなに家計が苦しい時でも、何かひとつは新しいものを買ってくれた。または作ってくれた。
靴下や手袋、マフラー、そんな小物だけの年もあったが、それでも、新しい物を身につけることで、心あらたになるのであった。
そんな私も70歳を迎えた。
2年半前には大腸ガンの手術をした。
夜に手術は終わったのであったが、翌朝、早速に、リハビリの先生が来られて、歩く練習をしますかときかれた。
その時、私は傷口は痛かったけれど、始めが肝心だと自分を励まし、痛みをこらえつつ1歩1歩ゆっくり歩いた。あと、毎日、歩いた。
それがよかったのか、私は回復が早いとほめられた。
大阪には「後でする喧嘩は先にせえ」という言葉があり、夫の両親はよく口にしていた。喧嘩という大げさなものではなく、イヤなことは先のばしせずに、始めにした方がのちのち楽であるという意味で使っていた。
「終わり良ければすべて善し」という言葉があるが、「始め善ければすべて善し」と、今日からいいかえて実行しようと思う。
今日、この一瞬が私が始めて迎える時間なのだから・・・。