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誕生の喜び」

越前 喜六 神父

今日の心の糧イメージ

昔、インドの聖なる詩人、ラビンドラナタ・タゴールの詩を読んだ時に、正確な言葉は忘れましたが、「一人の赤ん坊が生まれるとき世の中がどんなに荒んでいても、神がわたしたちを愛しておられるということが示されている」という内容の詩に出会ったことがあります。若いときでしたが、非常に感動したものでした。

詩的な言い方だと笑われるかもしれませんが、いのち、すなわち生命は神さまにほかならないと思います。赤ちゃんが誕生するとは、小さな神さまが誕生するということではないでしょうか。ですから、自然に歓喜の感情が湧いてくるのでしょう。

生命が誕生するとき、それはあたかも神が無限に増殖していくようなものと想像することができるのではないでしょうか。

人間の子はもちろん、動物の子も、赤ちゃんが皆、可愛いのは、神さまがにっこり微笑んでおられるからと感じるのは、わたし一人だけでしょうか。

クリスマスとは、いうまでもなく、わたしたちの救い主、イエスキリストが、ユダヤのベトレヘムで、母のマリア様からお生まれになった出来事をお祝いする日です。

わたしは、ベトレヘムを3回、訪れました。いつ行っても、そこは懐かしく感じられる聖なるスポットでした。

神の御子は、神でありながら、わたしども人間のあらゆる罪や苦罰が赦され、神の子どもとして救われるように、人の子としてお生まれになったのです。ですから「大きな喜び」、すなわち「福音」と呼ばれるのです。

この誕生の喜びを思い出し、感謝と自信と勇気をもって、今の人生を生きられたらどんなに幸せなことでしょうか。