「進さんは、太平洋上で戦艦に突入して戦死した」という手紙が進さんの父親に届いたのだそうだ。
私が女子大の寮に入っていたときのこと、それまでは祖母の側にいたので、私に手紙が来ることはなかったが、寮には祖母から毎週手紙が届いた。祖母の手紙を読むのは初めてだった。それは、毎回7~8枚の長い手紙だった。
手紙の中で印象に残っているのは、進さんの死を書いた手紙だった。何かとても強烈な感じを受けたが、祖母が弟を想う本心だったのだろう。
「真っ赤な夕陽が沈む頃、進は飛行機を柩として敵の軍艦に体当たりをして、海を墓場として死んだ」という内容の手紙だった。
戦争は、敵も見方も、若者や多くの人の命を奪ってしまう。
さて、祖母は私に、夕暮れの海に太陽が沈む写真を、帰省するときに買ってきてほしいと言った。私はポスターを探しに行った。夕暮れの海に最後の輝きを放って太陽が沈むような写真を探して、祖母に渡した。祖母はそのポスターを壁に貼り、毎日、見つめていた。なぜなのだろう?
今頃になって祖母の気持ちに気づいた。祖母は海で弟の進さんと繋がりたかったのだ。
海の星のマリアさまに「平和」を祈ろうと思った。