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繋がり

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

教皇フランシスコは、回勅「ラウダート・シ」の中で、「すべては世界の中で厳密に関連し合っている」と、世界が真剣に取り組むべき様々なテーマの根底には強いつながり...一貫性があることを強調しています。

その一つとして、地球温暖化がもたらす異常気象と貧困のつながりが挙げられます。ここ数年、世界は大きな自然災害に見舞われています。被災者の苦しみに寄り添って支援活動を推進し続ける人々からは、「人々とのつながり」の大切さ、有難さ、人間らしさを学んでいます。その一方で、災害がもたらす経済的損失ばかりに言及し、自然災害を経済的影響に限定してしまう世界の動向が見られ、大きな矛盾が生じています。

貧しい国々は、そもそも地球温暖化の原因をほとんど出していないにもかかわらず、最も大きな被害を被っています。多くの地域でおびただしい数の人々が貧困に陥り、子どもたちは学校にも通えなくなっています。異常気象は、単に災害をもたらすだけではなく、世界中の地域の貧困をさらに深刻化させているのです。つまるところ、目先の利益に囚われ、地球温暖化によって最も貧しい人々が被る代償を視野に入れない、世界の全体像を見ようとせず、それどころか、全体像を歪める、人間のエゴイズムが原因となっていることがわかります。

 

このように、世界の様々な現状を分析すると、いろいろな問題が互いに絡み合って、結局、私たち、人間のあり方に結びついていることに気付かされます。

私たちは、もう1度、本来の人間同士の「つながり」、調和しながら生きるようにと与えられた人間の尊厳を自覚し、世界のあらゆる被造物との「つながり」を取り戻したいものです。