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評価する

岡野 絵里子

今日の心の糧イメージ

自分自身を正しく評価するのは難しい。心理学の研究によれば、人が自分を評価する時、ほとんどの人が「平均より上」と位置づけるそうだ。どれくらい上なのかは、人によってまちまちだが、どれほどにせよ、自分は他人より優れているというささやかな優越感と自負心を持って、人は生きていくものらしい。

実力に少しおまけをしても、自己評価が高いのは良いことだと思う。少なくとも低すぎるよりは良い。たとえ他人に理解されなくても、自分には色々な魅力や能力があるのだと誇りを持ち、自分を信じていれば、困難に遭っても道は開けるだろう。それも一つの幸福な生き方だと思われる。

だが、悩まされるのは他人からの評価である。懸命に努力していても、周囲に届くとは限らない。私も小学生の時、道徳の筆記試験で満点に近い点を取ったら、クラスメートに「点の方が良すぎる」と言われて泣いたことがあった。つまりは、日頃の行いが伴っていないから、良い点にはふさわしくない、人間としての価値はもっと下である、という厳しい評価を貰ったわけである。教科担当のシスターに「謙遜になるからいいのよ」と慰められたが、一体どうすればいいの、という気持ちであった。

理想は自分自身からも、周囲の人々からも、そして社会からも評価されることだ。それは小学生に難しく、大人にとっては更に困難な課題であるに違いない。

だが不思議なことに、私たちは人に勝ち、高い評価を得ようともそれだけでは満ち足りることができないようである。努力をしてきた人ほど、人の世の評価が全てではないと悟るのかもしれない。

その時、魂は私たちに何と囁いてくれるだろうか。