▲をクリックすると音声で聞こえます。

評価する

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

他人が何か成果を上げたときに褒めるのは得意だが、自分自身が何か成果を上げても、なかなか満足できない。そんな人は、意外と多いのではないだろうか。わたし自身にも、そんなところがある。人のことは客観的に評価できても、自分については評価が偏ってしまう。自分に対する評価が、あまりにも厳しすぎるのだ。

なぜそんなことになるかと言えば、それは自分への期待が大きすぎるからだと思う。「自分はもっとよくできるはずだ」と思い込んでいるから、自分の思ったとおりの成果を挙げられない自分に腹が立つ。自分に大きすぎる期待を持っている人は、自分を褒めることができず、もっと大きな成果を求めて自分を追い詰めてゆく。

「わたしとしたことが、これしかできなかった」という考え方をしてしまいがちな人は、そのような考えが浮かぶたびごとに、「これだけできれば、わたしとしては上出来だ」と考えなおすように心がけたらいいだろう。「わたしとしたことが」という言い方には、ある種の傲慢が潜んでいるからだ。「わたし」がいったい、どれほどのものだというのだろうか。自分が出した成果を、自分にとっての精一杯の成果として素直に受け入れ、喜ぶ謙遜さを持ちたい。そうでなければ、自分がかわいそうだ。

渡辺和子さんが「思った通りにならなくて当たり前。思ったとおりになったら感謝しなさい」とよくおっしゃっていた。これは、自分自身にも当てはまることだろう。思った通りにならない自分に、不満ばかり言っても仕方がない。思った通りにならなくて当たり前、むしろここまで出来たことに感謝する。そんな風に考え方を変えられれば、いまよりもっと幸せに生きられるに違いない。