案の定、学生さんからは「昔は大変だったのですね」とのコメントがきて、「昔って言わないでー」と悲しくなったりもしました。
でもそれ以上に、「経験を踏まえた発言に胸を打たれた」、「考えの根拠がはっきり分かって目からうろこだった」など、いま現在に視点をおいた反応が続々と返ってきました。単なる昔話として聞かれていなかったこと、何よりも、現在の私の気持をそのまま受け止めてもらえたことが嬉しく思えました。彼らにとって重要だったのは「いまの」私の考えや話であって、過去に重ねてきた年齢ではなかったのです。
さまざまな衰えから、年を重ねることには重荷が伴います。しかし、いまを生きることの大切さは、いくつになっても変わらないのではないでしょうか。学生さんたちは、そのことを思い出させてくれたのでした。
しばらくして、電車で乗りあった83歳の女性が、「きょうできることをする」と言っておられました。同感です。
いまが重なって年が重なるのです。だから、しっかりした「いま」を重ねていきたいと思います。
年を重ね、いろいろな体験を踏まえて、私は、どんなに強い感情でも、時が経てば「必ず過ぎ去る」ということを自分自身に言い聞かせ、最近では、たとえ否定的な感情に呑まれそうになる時も、どこかで、感情に揺れ動く自分を冷静に見つめ、「時を待つ」ようにと諭す、もう一人の私がいることに気付きます。
そして、日々、私は、神様の御前で日常を静かにふり返り、落ち着いて自分を見つめる時を持つようにしています。ゆっくり自分の心の動きと、いろいろな出来事を思い起こすことで、少しずつ平静な心に戻されていきます。このふり返りのプロセスの中で、私は、ありのままの私を支え、生かしてくださる父なる神様の現存に心を向け、すべては神様の大きなご計画の中にあることを味わい、信頼していくことに導かれていくのです。