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私とロザリオ

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

ロザリオの祈りをご存じだろうか。ロザリオは、一見すると美しいネックレスのように見えるが、実は、聖母マリアへの祈りを数える道具だ。ロザリオが貝やガラス玉やオリーブの木など様々な材質で美しく作られているのは、カトリック信者の心に、聖母が美しい女性であり、母であり、あこがれの方だからだと思う。

この聖母への祈りは、天使ガブリエルが、マリアに救い主の母になることを告げる言葉から始まる。そして、神の母となられたマリアに、私たちのために今も死を迎える時もお祈りくださいと願って終わる。短い同じ祈りを合計53回唱えることで、ロザリオの輪をひと回りする。私は子供の時からよくロザリオで聖母に、私の祈りを神に取り次いでくださいと願った。

まだ小さいときは1日に10回ほど唱えるのが精いっぱいだったが、大人になると一周することができた。何周もくり返し祈ると一定のリズムが生まれ、ますます祈りやすくなる。不思議な慰めに満ちた祈りだ。20代の頃は、聖母にそれほどの親しみを感じていなかったが、それでもなぜかロザリオは好きだった。ロザリオで祈ったことはいつも聞き届けられたからかもしれない。

ロザリオは私の両親が愛していた祈りでもある。母は、赤いハート型のガラス玉がつながったロザリオ、父は、プラスティックの薄緑色のロザリオで祈る姿をよく見かけた。ロザリオの月と呼ばれる10月は、夕の祈りの後に私たち家族はそろって並び、一緒に祈った。両親が聖母マリアへの崇敬を示してくれたおかげで私の心には聖母の存在がしっかりと根を下ろしている。

今も毎日毎日「お母さん、あのねぇ」と聖母マリアに語りかける気持ちでロザリオを祈っている。