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子育ての実り

黒岩 英臣

今日の心の糧イメージ

つい数日前、息子がひと月ぶりに日本に帰ってきました。

今回はベルリンでピアノコンチェルトを演奏し、パリ近郊でも音楽会に出演した上、新妻と連れ立っての、新婚旅行も兼ねた演奏旅行となりました。

私達夫婦は息子がこうして自立してゆくのを見ることができて、正直、ホッと安堵しています。新妻の両親は仏教の家系ですが、私達の息子をそれはそれは愛してくれているので、その点でも、私達は実に恵まれています。

とにかく、やっと巣立ってくれた!!これが偽らざる実感です。

ピアニストとしても勿論、これからキリスト者としても育ってくれれば、私達にはこの上ない喜びです。

思い返せば5才の時、近所の女の子がピアノを始めたのが、もううらやましくてたまらず、毎日その子のあとを追いかけまわして、その子の弾く通りにピアノを弾いていたのが始まりでした。

それが、音楽高校の時期には一人前以上にグレて、演奏面では学校を代表する生徒でありながら、学校と事を構え、他校とのコンサート出演をキャンセルする程の、反抗ぶりだったのです。

その理由が、長く伸ばした髪の毛を派手なオレンジ色に染め、それを真っすぐ上に向けて、まるで煙突のように立てているのを、やめろ、やめないとの争いだったのです。

これが、そのあとイタリアへ留学し、その後ベルリンへ移り、丁度、日本で18年、ヨーロッパで18年という、2つの故郷を持つピアニストに育ったという訳でした。しかも、留学先で知り合った女性と19年の歳月を経てつい先ごろ、やっと結婚に至ったのですから、2人の間も勿論、神様の導きは何とも計り知れないものです。

それと共に、あのとんでもないオレンジ頭も、今は昔となっておりますが・・。