シスターになる前、年上の女性からハッとさせられることを言われました。「シスターは、自分の子どもを産んだり、育てたりすることがないから、意識的に大人になるための心がけが必要」というアドバイスでした。修道生活を続けていますと、その人が言わんとしたところが身にしみてわかるように思います。
母親になっている友人たちは、無理なく子どもや家族を中心に考えることが身についていると、折に触れて感じます。シスターの場合は、自分の家族でなく、神様を中心にした霊的なつながりを大切にし、何時でも何処でも、自由にあらゆる意味での隣人、他者に奉仕することを考えるはずです。
しかし、現実的には自己中心的になりやすく、自分の時間や都合を優先させてしまう誘惑に度々遭っています。
シスターであるが故に心を開き、助けを求めてくださる人々の出会いを大切にし、喜んで時間や労力、神様からいただく賜物を分かち合っていくこと。時には、苦い思いをしたり、自分の都合を後回しにしなくてはいけないことがあったりしても、そういうことが、神の国の実現のために、血縁関係を越えた愛の交わりに招かれる、奉献生活者としての使命であり、それに応えていくことが「実り」だと思っています。