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繰り返し

村田 佳代子

今日の心の糧イメージ

繰り返しとは、同じことを反復することです。

「歴史は繰り返す」とは良く言われる事です。確かに過去の出来事と同じような事件が起きたり、政治の流れが、ある時代と似た傾向になるというようなことはありますが、歴史上全く同じことが起こったなどということはありません。

一方、音楽の演奏においては、楽譜に2本の縦線の前に2つの黒点を付けた繰り返しの記号があり、記号に挟まれたメロディーを全く同じに繰り返して演奏します。演奏者のタイプによって、サラリと軽く繰り返す人と、丁寧に繰り返すことで更なる高みを望むかのような演奏をする人がいます。曲目によってどちらの方が良いとは一概にいう事はできませんが、此の事を私たちの日常に置き換えてみましょう。

平凡な毎日の暮らしは一見繰り返しのようですが、例え行動の時間や場所、内容がほとんど同じであったとしても、心持は微妙に変化しているものです。

まして、学問や技術や技能の世界において、人は地道な繰り返しを積み重ねることによって進歩してきたのです。そこには、繰り返すたびにより良い方法を工夫したり、じっと考えたり試したり努力があったはずです。

こうして長い間一つ事を繰り返し行う結果、いつしか決まりやしきたりのようになって身につくのが習慣というものです。日曜日のミサに預かる事、食前の祈りや就寝時の祈りなど、繰り返しから良い習慣として身に着いたことが沢山ありますが、時々慣れになってはいないかと反省することが必要だと思います。

良い習慣を守っているからといって、聖書にあるファリサイ人のように傲慢にならぬよう、心の貧しさを自覚し、日々を歩んでいきましょう。