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私たちのお母さん

松浦 信行 神父

今日の心の糧イメージ

「あんな、この前、おもろい話が、うちであったで」、そう、その信者のおばさんは語り始めました。小学生の息子さんが友達の家で夕食をご馳走になって、帰ってきた時の話なのです。「うちの息子が、『母さん大変やで。友達のうち、カレーライスに肉が入ってんのや。珍しいで。よーもあんな肉、カレーライスに入れよって、俺びっくりしたわ。』と言いよるんや」

そして、「わたしのほうが慌ててしもて、『あんな、変わってるのはうちの方や、普通は肉を入れるんや。うちみたいなシーフードカレーの方が珍しいんやで。』と、息子に説明するのに一苦労やったわ。」

でも、息子さんの方は納得がいかず、しばらくの間「うちのシーフードカレーの方が美味しいのに、なんで肉を使うんや」と言い続けたそうです。食は本当に力強く、人に影響するのですね。

このおばさんは、私が赴任した教会で、いつもお母さんのような役割を果たしていました。彼女はいつも教会にいて、留守番をし、神父や信者さんがお腹を空かしていると、出来合いのものを食べさせてくれるのです。また神父が忙しくて動けない時などは、色々な悩みを持った人に接して話を聞いてくれました。また、人から頼まれるとよく病者訪問をしてくれました。

当時、私たち神父は、共同宣教司牧という形で、5つの教会を3人で受け持っていました。また1つの教会で共同生活をしていたので、後の4つは、司祭は常駐していませんでした。だから彼女のいる教会は、彼女のところに情報が集まり、彼女の人柄で多くの人が何時も屯していました。

食を介しての影響と同じように、彼女は教会にわたしたちのお母さんの味をもたらしてくれたのです。