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私たちのお母さん

土屋 至

今日の心の糧イメージ

中学生と聖母マリアについて聖書を読む授業で、最初にビートルズの「レットイットビー」を聞く。この歌は今の中学生にもよく知られている。

これを聞いたあとに「この歌は聖母マリアの歌だよ」というと生徒たちは驚く。そこでこの歌の歌詞と、聖書のマリアへの受胎告知の場面の日本語と英語をかいたプリントを配って説明する。

「『レットイットビー』の英語の歌詞を見てご覧。

私が悩んで落ち込んでいたときに、聖母マリアが私のところに来て、知恵の言葉『レットイットビー』と語りかけるとあるだろう。この知恵の言葉って、ビートルズの歌の中では『成り行きにまかせなさい』とか『なるようになるさ』とかいう意味で使われている。実は聖書のマリアの言葉では、意味は違っているんだ。ではほんとうはどういう意味なのか、その場面を日本語で読んで見よう」

「マリアは天使ガブリエルから、子どもが生まれると告げられる。マリアは『まだ結婚もしていないのにそんなことがありえない』ととまどうが、天使から説明されて、最後は母となることを受け入れる。その受け入れるときの言葉に『レットイットビー』が含まれていそうだね。その言葉は何だろう?」

「私は主のはしためです。お言葉どおりになりますように」

「でもそれって『成り行きにまかせなさい』という意味と違うよね。その場面の英語のところを読んでみよう。

Let it be to me according to your words.

ほらここに『レットイットビー』があった。ビートルズは『お言葉どおりにこの身に』というところを省いちゃったから『なるようになるさ』っていう意味になっちゃったんだ。本当は、お言葉どおりになりますようにという意味なんだ。それが本当の知恵の言葉というわけさ」