▲をクリックすると音声で聞こえます。

いただく命

遠山 満 神父

今日の心の糧イメージ

IPS細胞の発見によって、心筋梗塞も移植による治療が可能な時代となりつつあります。心筋梗塞は、心臓の筋肉の壊死ですので、再生は不可能だと誰もが考えてきたことと思います。近年、その治療の可能性が現実味を帯びてきていることは、私たちに、驚きと希望と喜びを与えてくれます。

身体の癒しに関しては、このような画期的な研究が進む一方、心の傷の癒しの問題は、現代世界に生きる私たちにとって、依然として大きな課題です。理屈通りに行かないのが人の心です。日本では、いじめの問題や引きこもりの問題などに対して、皆が知恵を出し合っています。

先日、あるクリスチャンのシンガーソングライターの方のコンサートに行きました。私は、そこで大変驚くべきことを耳にしました。1つは、この方が五歳の時、友達から「あなたは貰い子」と言われ、その不用意な言葉によって傷つき、それが原因で、思春期も荒れた時を送ったということです。

2つ目は、この荒れた心を癒してくれたのは、聖書の言葉であったということです。この方は、「言葉によって傷つけられた心は、言葉によって癒されなければならない」と言われていました。

私たちは、人生の様々な場面で、他人の不用意な言葉、非言語的コミュニケーションを含む言葉によって心が傷つく体験をします。相手に謝罪して貰いたいと思っても、時には相手が、こちらをどれほど傷つけたか、意識していないことさえあります。そういう時、私たちの心は、悲惨な状態になり、生きる意味をも見失うことがあります。

そのような私たちの心を再生して下さるのは、神様の言葉です。神様は今も、聖書の言葉を通して私たちに命を与え続けてくださっています。