人間らしく生きる道を選んだ、と言ってもいいかもしれない。自分の欲望を満たすためだけに生きるなら、それは動物の生き方と何も変わらないだろう。人間らしさは、自分のことを脇においても神のため、人々のためを思って行動できる力にこそある。戦国乱世にあっても人間らしさを失わなかった右近は、道義を重んじ、領民を思いやる君主として人々の尊敬を集めた。
わたしたちが生きる現代も、ある意味で「乱世」と言っていいだろう。厳しい競争社会の中で、誰もが自分の生活を守るのに必死で、他人のことや、神様のことまで考えている余裕がない。何かを判断するときには、自分にとって損か、得かということだけが判断の基準になりがちだ。
いまこそ、わたしたちは右近の生き方を思い出すべきだろう。自分の利益だけを考えて争い合うのでは、動物と同じだ。人間らしさは、自分の利益よりも、神様のこと、人々のことを先に考えられるかどうかにかかっている。「これは自分にとって損か、得か」と考えそうになったら、すぐ「これは神のため、人々のために役立つか」と考え直す習慣を身に着けることで、人間らしさを取り戻したい。