それで、私はしっかりと子供たちの手を両手に握って歩いていました。ところが、いくら握っていても、子供たちのほうは私の手を引き離したくて、あっちへこっちへと暴れ、私のほうが振り回されているといった感じでした。
その時です、私の哀れな姿を見ていたのでしょうか、1人の年老いたシスターがすーと寄ってきて、こう言ったのです。「神父さん、子供の面倒を見たことがないね。こんな時は、手を放してやりなさい。子供でも危険は知っているから、川には落ちはしないよ。手を放して、ちょっと後ろのほうに離れて見てるだけにするのよ。」
経験豊かなシスターが言うのだからと、恐る恐る手を放してみました。すると、子供たちはさっきの騒ぎは嘘のように、前に向かって自分でしっかりと歩き始めたのです。
「ほらね!固く握れば握るほど、子供は暴れるものよ。わかった?」そういって、そのシスターはさっと前へ歩いていきました。それから私は、子供たちの後ろで、シスターから言われた通り気を付けながら見守っていたのでした。子供たちはのびのびと夏祭りを味わっていました。