教会のクリスマスの飾りつけは美しい。灯された明りは、通りかかる人を明るませ、羊飼いや子羊の飾りは、浄らかさを見る人に分け与えてくれる。どんな華やかなイルミネーションより、この灯は人の心を打つ。それは、この灯が、かつて或る小さな馬小屋に灯り、人々の大きな喜びとなった光だからだ。遥かな道のりを旅して来て、今も1人1人の喜びになろうとしている光を、私たちは見ているのである。
教会の前を通りかかった人が、ふと目を止め、足を止めることがあるのは、聞こえてくる祈りの中に、時を越えてあふれる光や声が感じられるからではないだろうか。
電車の中にいた声の持ち主も、心を引かれる何かがあって、イヴの日に教会の話をしたのだろう。彼女の心を引き寄せた見えない手、そしてその手に静かに包まれている光を、私はクリスマスの恵みと呼びたいと思う。