それは悲しいことでした。中学高校以来はぐくんできた友情がこんなことで亀裂が生じ壊されていくものかと。
そこで私はこのことをあるスペイン人の神父さんに相談しました。子どものときにスペイン市民戦争を経験したその神父さんは「和解のミサ」を3人でしようと提案したのです。親友にそのことを持ちかけたら、彼もそれを待っていたかのごとく賛成してくれました。そして、そのスペイン人の神父さんがつかさどる、親友とわたしの3人だけの「和解のミサ」が畳の部屋でささげられました。その神父さんは、ミサの終わりでどんなに政治的に対立していたとしても変わらない友情を祝福してくれました。
それから私たちは中学高校以来の親友関係を回復しました。そして、私もかれも大学を卒業して別々の高校の教員になりました。今はもう2人ともリタイアしています。
しばらく会っていない彼に久しぶりにたまらなく会いたくなりました。