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友好

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

第二次世界大戦中、アウシュビッツで若い父親の身代わりになったコルベ神父という聖人がおられます。神父様は、人間はちょっとしたことで人に嫌な感情を抱き、それを相手にぶつけてしまいやすい、とおっしゃっています。彼はそれを避けるため、修道院での挨拶を「マリア」という呼びかけに決めました。朝の挨拶も、部屋に入る時も「マリア」。返答も「マリア」です。

聖母マリアは神の最も近くにおられる聖人で、私たち人間のお母さんでもあります。聖母を思うことで、何事においても神さまが望まれることを最優先して他者のために尽くした彼女の生き方を思い出すことが出来ます。この挨拶で仲間への様々な感情をのり超え、不和を避け、互いに愛しあう助けになったのだと思われます。

一般社会に生きる私たちも、人との友好な関係をつくるためにいろいろな工夫をします。例えば、笑顔を向けて温かい言葉をかけたり、励ましあったりすることです。このようなことは誰にとっても必要ですが、友好な関係を築くために最も大切なことは「批判しないこと」だと思います。批判するとどんなに長い間友情を育んでいても、あっという間に関係が壊れます。相手の言動を自分の考えで急いで判断しなければ批判しないですむでしょう。ひとがとった行動の本当の理由を完全に把握しているのは神さまだけだからです。

聖書にも「へりくだって、互いに相手を自分よりも優れた者だと考え(中略)なさい」(フィリピ2・3)という言葉があります。

ひとを肯定的にみつめ、尊重する土台となるものは「神の前には自分は何者でもない」という謙虚な気持ちです。それはやはり聖母マリアのお姿です。