▲をクリックすると音声で聞こえます。

おおらかに

今井 美沙子

今日の心の糧イメージ

大腸ガンの手術をしてからおよそ2年が経った。先日もCT検査、血液検査、便潜血検査を受け、異常なしであった。

病院からの帰り道、スキップしたいほどの嬉しさであった。大病をして初めて、心から様々なことに感謝できるようになった。

何でもあたり前と思っていたことが、実は神さまからの大きなお恵みのたまものであることがわからされたのは収穫であった。

我家で、自分のふとんで寝られることのありがたさ。何につけても入院中の不便さ、心細さを思い返すと、ありがたく勿体ない気持ちでいっぱいになる。

手術後、私の生き方は大きく変わったと思う。

少々のことにはくよくよしなくなり、少々のことは大目に見られるようになった。

大腸の中のガンを切除していただき、その代わりに、物事をおおらかに見ることを神さまにプレゼントしていただいたと思う。

今朝もゴミを出しに外へ出ると、前の家の飼い犬が2階のベランダから激しく吠えたてた。通りがかりの人が「あんなに吠えて、文句をいわないんですか」と私にいった。

私が「いいえ、防犯してくれていると思うと気にならないんです。前の家のおばさんのわたしはあやしくないのはわかっているのに吠えるので、あやしい人だったらもっと吠えて知らせてくれると思うから」と答えると、「ああ、解釈の仕方ですね。わかりました」とにっこり笑って立ち去った。

このように私はなにかおおらかな考えで解決する方法はないだろうかと思って日々を暮らしている。思えば、私たちは時々、神さまのことを忘れたりするが、神さまの方は、私たちのことを決して忘れることなく日夜、見守ってくださっている。神さまほどおおらかなお方はいらっしゃらないのではないだろうか。