ある深夜、疲れ切った妻が眠り込んだため、私が別室で周を寝かしつけていました。周を何度も横にするのですが、そのたびにムックリ起き続けるので、私はしびれを切らし、声を荒げてしまいました。普段は朗らかな周が、その時ばかりは大声で泣き出し、親子ともどもつらい夜となりました。
〈周は自分で望んでてんかんになったわけではないのだ・・・〉と、私はいたく反省し、翌晩は周を優しく抱っこしながら布団に入りました。そっと電気を消し、周が起き上がっても無理強いせず、毛布で体を包むと、いくらか早く寝入ったのでした。
このささやかな経験から、私は難題に直面した時こそ、あえて一度、おおらかな心を持つことと、隣人をよく観察する深い知恵が大切であると気づきました。
それを掘り下げてゆくと、様々な人と日々の修練の場を生きてゆく鍵となるでしょう。