あるシスターから聞いた話です。介護老人ホームに入所されていた、あるおばあさんが、自分も人の役に立ちたいと「何か仕事をさせてほしい」とおっしゃったそうです。そこで、そのシスターは、こう答えたそうです。「あなたは笑顔が素晴らしいから、毎朝、入所されている方々や職員さんたちに笑顔で、大きな声であいさつをしてくださいませんか」と。本人は、「それだけですか。」と言っていたそうですが、「ま、やってみるか。」と笑顔でのあいさつを始めてくださり、それを最後までやり通したそうです。
幾つになっても人の役に立ちたい気持ちが実は誰にでもある。その気持ちに支えられて、誰かのために何かができる。もし、体の自由がほとんどなくなったとしても、誰かのためにお祈りすることはできる、と思いました。
歳を重ねるにつれ、病を幾つも抱えたり、動作の一つ一つがゆっくりになったり、思うように動くことが日に日に難しくなっていくことでしょう。それでも、今まで生きてきた経験と知恵を生かして、何かに挑戦し続けることができるのだと思います。こうして、誰かのためにも生き続けていくこと、幾つになっても自分の人生を他者のためにも開き続けていくことが老いることの意味なのかもしれません。