その様子を見た上司が、1人の大学生を編集員として紹介してくれました。「しめた、これで作業分担すれば、仕事量は半分で済む」と、私はすぐさま飛びつきました。
しかし、実際はそうはいきません。それまでは自分勝手に、その号の話題を見つけ、適当にその話題を紙面に貼り付け、記事が出来たところから手書きで新聞を造っていたのですが、2人になると、大学生の彼曰く、「松浦さん、編集会議はいつしますか?次の号のテーマはどうしますか?どんな記事を集めますか?」と、逆に作業の時間がとられ、私はますます忙しくなったのです。
「しまった、2人でやるのではなかった。1人の方が気楽だし、ゆっくり出来るのに」と、元に戻そうと考えたその時、読者の人から「この頃、新聞読みやすくなりました。良い企画が続きますね」との反応が返ってきたのです。私はびっくりしましたが、よく考えてみると、複数の感性で作り上げる方が、独りよがりのものよりも格段に良いはずですし、お互いの欠点をカバーできる利点もあることに気づきました。
人と共に作り上げる豊かさは、煩雑で面倒だといった目の前の苦労があっても、余りある、そう感じた時でもありました。