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人生の教訓

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

神父として数々の失敗を重ねる中で近ごろ身に染みて思うのは、「物事が自分の思った通りにならないとき、腹を立てても始まらない」ということだ。思った通りにならない現実に腹を立て、いら立ったり、周りの人に当たり散らしたりしても、何もいいことはない。物事が自分の思った通りにならないときは、「この現実の中で、自分に何ができるだろう」と考え、全力で現実と向かい合うに限る。

たとえば、会社で自分の思った通りの役割が与えられなかった場合、そのことに腹を立てても始まらない。「自分を正しく評価してくれない」と言って会社を恨んでも、状況はますます悪くなるばかりだ。そんなことをしている暇があれば、気持ちを切り替えて「この現実の中で、自分に何ができるだろう」と考えたほうがいい。与えられた現実の中で全力を尽くせば、必ず道は開ける。誠実な働きぶりが上司から認められることもあるだろうし、つまらないと思っていた仕事の中に面白さを発見することだってあるだろう。

家庭で、家族が自分の思った通りに行動してくれないような場合でも、そのことに腹を立てても始まらない。「どうして勉強しないの」と子どもを厳しく責めても、子どもはきっと反発するだけだろう。「どうしてわたしの気持ちをわかってくれないの」と配偶者を非難しても、夫婦の関係はますます悪化するばかりだ。そんなことで時間を無駄にするより、気持ちを切り替えて「この現実の中で、自分に何ができるだろう」と考えた方がいい。相手を変えることはできなくても、自分を変えることはできるのだ。

現実に腹を立て、現実を否定しても何も始まらない。むしろ謙虚な気持ちで現実を受け止め、その現実の中で自分にできることを考えるようにしたいと思う。