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人生の教訓

黒岩 英臣

今日の心の糧イメージ

私は、自分にとって教訓と言えるような、どこか重みのある話を思い出してみようと努めてみました。

そうして何十年ぶりかで思い出したのが、多分親に教わった昔話、うっかりして池に斧を落としてしまったお爺さんの物語でした。

お爺さんに池の女神様が現れて、手に持った金の斧と銀の斧を差出し、お爺さんが落とした斧はどちら?とたずねるあの話です。

ここで定石通り、正直者のこのお爺さんは、「とんでもねぇことで」と、へいこらしながら、「あっしの落としたのは、ただの鉄の斧なんでさぁ」と答えました。すると、女神様はこのお爺さんの正直さを褒め、その証にこの金の斧をあなたにあげましょうという事になりました。

ここでめでたし、めでたしではなく、更に続きがありましたよね。

このやりとりを物陰から見ていた欲深爺さんは、早速、わざと斧を池に投げ込みました。すると、さっきの女神様が現れたので、「わしは金の斧を池に落としてしまいやして・・」と言いました。すると女神様は、「あなたはうそを言っている。だから、あなたの鉄の斧をも失うのだ」と言って消えてしまったので、欲深爺さんは何もかも失ってしまったんだとさ。

子供のころ、私達はこうした昔話とか、その類の話で「うそはいけない」という事を学んだのだと思います。単に、「うそは悪である」などと教わるよりも、この話を聞いたほうが、もっと深く心に入った気がします。

この、「うそはいけない」という処に着目して、ここをすり抜け、大笑いするのが、皆さんご存知の落語、「時ソバ」でしょうね。人生にはこうした楽しみも許されます。

さて、一言、聖書の素晴らしい教訓をご紹介致しましょう。

「主が愛する者を叱るように、父はいとしい子を叱る」。(箴言3・12)