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甘え

ハヤット 神父

今日の心の糧イメージ

ある時、私は何冊かの辞書で「甘え」と「甘える」の意味を調べてみました。それぞれの辞書に異なる定義と説明が書いてありましたが、みな「甘え」が良くないこととして書いてありました。しかし、最後に友だちから借りた辞書には、「相手の理解や好意を予想した上で馴れ親しんで行為をする」とあり、そして、その例として「母に甘える子供」と書いてありました。

私は、その説明を読んで「甘え」は必ずしも悪いことではなく、「甘えはコレステロールのようなものだ」と思いました。コレステロールといえば、一般に悪いものとして考えるようですが、善いコレステロールもあります。健康を維持するために、悪いコレステロールは避けなければなりませんが、それと同時に善いコレステロールを大事にしなければなりません。同じように、子供も正しく育てるために、悪い意味での「甘え」を避けて、良い「甘え」を大事にしなければならないのです。

親は子供が小さいときから、「善悪」、つまり善いことと悪いことの区別を教え、子供が悪いことをすれば厳しく叱り、反省させるべきです。そうすることによって子供は悪い意味での「甘え」をしなくなります。しかし、子供が悪いことをしない限り、いろいろな失敗をしても、優しく諭すべきです。そうすることによって、親に対する良い「甘え」を大事にできます。

子供は自然に親の真似をします。親がいつも厳しい態度で子供を叱ってばかりいると、大人になってから、厳しいだけの人になることが多く、親が状況を判断しながら、出来るだけ優しい態度で愛情をもって子供に接していれば、きっと子供はその愛に応え、優しい思いやりのある人になるだろうと思います。