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心を開く

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

私たちは、人が心を開いて接してくれると嬉しいものです。心を開くのは、両腕を広げるのと同じですから、相手を受け入れることを意味します。優しく接してくれるのか、ひどい態度をとられるのかわからないままで受け入れるのですからリスクがあります。人が心を開いてくれるのは当然のことではなく、大きなプレゼントだと思います。

聖歌の中に「わたしは門の外に立ち、扉を叩いている。もし、声を聞いて門を開けるなら、わたしは中に入り、あなたと共に住む」という箇所があります。扉を叩いている方はイエス・キリストです。

心のノブは内側にしかついておらず、その方が開けたいと思うときにだけ開きます。どんな権力者も心を無理にこじ開けることは出来ません。心は人間に与えられた尊い領域で、本人の同意なしに誰も勝手に入れない美しい部屋なのです。神さまも人を尊重し、扉をノックして待ってくださいます。神のノックを聞いて扉を開くなら、その人は神とのつながりをもつことになります。それは「祈る」ということです。祈るなら、少しずつ神に似たものに造り変えられ、やがて、傷つくことを恐れない人になっていきます。神から愛と勇気を注がれるからです。

今、世界が危機に瀕していることは誰もが知っています。

日本は、戦争もしていないのに毎年三万人が自殺し、数十万人の胎児が堕胎されています。このような冷え切った時代、他者に心を開いて笑顔を向け、温かな言葉をかけたり、自分の出来る奉仕を始めたりする人が本当に必要なのです。その人は他者を信頼することで人を変え、少しずつゆっくりと世界を変える人だからです。