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心のともしび

高見 三明 大司教

今日の心の糧イメージ

お隣の韓国から、たくさんのカトリック信者が長崎に巡礼に来ています。この巡礼者たちが単なる観光旅行ではなく、ほんとうの巡礼をすることができるよう世話をするために、韓国のある大司教から派遣されて、長崎に来て住んでいるシスターたちがいます。そのうちの一人は、長崎に着いたばかりの時には暗い顔つきをして、どこか辛そうな様子でした。上司の命令で日本という国に行かされ、日本語もまだよくわからないなど、いくつかのわけがあったにちがいありません。ところが、1年あまり東京で日本語の勉強をしてから長崎に帰って来たシスターは、表情も明るく、にこやかになっていました。1年前とすれば驚くほどの変わりようです。こちらも思わず笑顔になり、幸せになりました。

人間の心は、火をつければ燃える"ローソク"あるいは"油"にたとえられます。生まれながらに性格の明るい人、心が暖かく、ほかの人に心配りをする人たちの心には、いつも火がともっています。しかし、ある人たちの心には、いつも火がともっているわけではありませんが、ほかの人から火をともしてもらった場合や、事が思い通りに運んだりする場合、心が明るくなります。しかし、貧しさや差別や偏見の中で育ったり、あることで心に深い傷を負っていたり、つまり、いつも心を暗くさせられた人たちには火がともりにくいと思います。

他方、一生涯その日暮しの生活から抜け出せないでいながら、笑顔を絶やさない人もいますし、裕福な生活をしていても心の暗い人もいます。わたしたちの心は、絶対的な神への信仰と希望に根をおろし、ほんものの愛に目覚めるなら、おのずから明るくなり、周囲を明るく照らすともしびとなるのではないでしょうか。