このたとえ話では種とは神のことばのことですが、かつて私は種に命のイメージを重ねて、絵を描いた事があります。
「新しいいのち」と題した20号のパステル画です。縦の構図で画面中央に胎児のように手足を曲げ、丸くなっている赤子を描き、画面下から両手がのび、その赤子を支えています。蒔かれた種と同じように、運命を暗示する4つのパターンを背景に描きました。
背景を2つに分け、右側はぬけるような青空が広がり、左側には暗雲がたちこめています。左下は戦火に逃げまどう群集、左上に向けて津波や竜巻など自然現象の恐怖を描きました。右側は、下は平和を象徴する花園を描き、上にはロケットを飛ばして未来を暗示しました。手は命を地上に送って下さる神の御手です。
新しいいのちが地上に生まれてきても、その命を取りまく環境によって始めから断たれてしまう命、折角生きていながら災害で断たれてしまう命、順調に人生を歩める命、未知の世界にチャレンジする命、いろいろある事を一つの画面に描きました。パステルだから出来る幻想的なぼかしを使ったオーバーラップ技法で、メッセージを伝えようとしました。好きな作品のひとつです。