『アリの社会ははっきりと分業システムができています。運搬係、倉庫係、見張り偵察係から、運搬中のかけ橋となる係までいます。ところがその係によって差別はなく、女王アリ以外はみな対等平等なのだそうです。
なぜそれが平等なのか、アリの社会にはこんな「慈しみのシステム」があるからなのです。』
これを聞いてわたしはすっかり感心してしまいました。
『アリは社会胃と個体胃という2つの種類の胃をもっていて、食べ物を見つけるとまず社会胃にいれます。でもそこでは消化吸収されることはなく、一時的に蓄えておくだけです。誰か別のアリに求められると求められたアリはかならずそのアリに食べ物を分かち合わなければなりません。そして他のアリに分かち合った量だけ自分も個体胃にいれて食べることができるようになります。』
他のアリに分かち合わないと自分も食べ物に有り付けない、他に分け与えて始めて自分も食べることができるというシステムは、対等平等で、慈しみがシステム化された優れたシステムであるように思います。全てのアリがそうなのかどうかはわかりませんが、人間社会もこういうふうにいけば貧困格差のない慈しみに満ちた社会になることでしょう。