そして、今、私は社会を賑わしているニュースに向き合い、頭で理解はしているものの、どこか「対岸の火事」とみなしていた一つひとつの出来事を捉え直すよい機会となっています。
特に、私が大きな課題と感じることは、「貧困」ということと、「人的な環境破壊」という負の連鎖です。
例えば、全世界で五人に一人の人が極度の貧困状態にあると聞いても、飽食の日々を送る人々には、正直言ってピンと来ないというのが現状ではないでしょうか。しかも、多くの人々は、そういう貧富の差に知らぬ間に加担してしまっているという事実にも気づかないでいます。その現実も「貧困」のもう一つの側面だと、私は感じます。
また、「環境破壊」ということが問題視されていますが、それは自然破壊だけではありません。先進国では、自分の生活をより便利に、より快適にと道徳や倫理まで荒廃させ、人と人との「関係性」も薄れつつあります。
教皇様は神のいつくしみの光によって、人間の品位と尊厳、そして人と人との相互関係が大切にされる社会のあり方、人間としての生活のあり方を一人ひとりが問い直すように「緊急に」呼びかけておられるのだと感じます。