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いつくしみの特別聖年

服部 剛

今日の心の糧イメージ

昨年12月8日から今年11月20日までは、教皇フランシスコ様が世界中に公布した『いつくしみの特別聖年』という期間です。

教皇様が書かれた大勅書には、〈神秘であるイエスのみ顔を、深く想い巡らせることの大切さ〉が語られています。目には見えない〈イエスのみ顔〉は、絶えず私達一人ひとりにまなざしを注いでおり、その本性である〈イエスのいつくしみ〉を、日常で実践して生きるとは、どういうことなのでしょうか?

在りし日のマザー・テレサは、インドのカルカッタの路上に倒れ、死に瀕している病人の瞳の内に宿る〈イエス〉の存在を感じ、手を差しのべました。その生き方こそ、イエスが聖書の中で語る「あなた方は、わたしが飢えていた時に食べさせ、渇いていた時に飲ませ、旅をしていた時に宿を貸し、裸の時に服を着せ、病気の時に見舞い、牢獄にいた時に訪ねてくれた」(マタイ25・35〜36)というメッセージを現す生涯でした。そして、教皇様は「〈もっとも小さなもの〉それぞれの中にこそ、キリストがおられる」と語っています。

私達の誰もが、マザーのようにカルカッタに行くことはできません。しかし、日々出逢う人々の瞳の内に宿る〈イエス〉が密かに囁く〈私は渇いている・・〉という呼びかけに、耳を澄ますことはできるかもしれません。

この『いつくしみの特別聖年』という期間に〈イエスのいつくしみのみ顔〉を深く心に描くことで、日常は巡礼の旅路となってゆくと思うのです。そして、私達のささやかな言葉・行為・まなざしで、ふれあう人々の心に〈いつくしみの種〉を蒔いてゆく時ーーそれぞれの人の物語に関わりたい、と願う〈目には見えない神様〉は、今日も世界の何処かで風となり、人々の間に〈イエスの想い〉を現すでしょう。