▲をクリックすると音声で聞こえます。

いつくしみの特別聖年

熊本 洋

今日の心の糧イメージ

フランシスコ教皇は、昨年秋、ニューヨークの国連で演説、「いかなる個人もグループも、他の人々の尊厳や権利を蹂躙することは許されない。残念ながら誤った権力の行使によって、今日の世界で自然環境や人々が犠牲になっている」と、述べました。

この言葉は、平和を願う多くの人々に、深い感銘を与えるとともに、希望と勇気をもたらしました。また世界の指導者に対しては、人権侵害など緊迫した国際情勢により適切に対処するよう訴えました。

フランシスコ教皇は、アルゼンチン人、アメリカ市民や多くの移住者から、同じ新大陸への移住者として親しまれ、大歓迎を受けた情景は、日本にも伝えられました。このフランシスコ教皇は、教皇就任から3年目を迎えますが、3年前、教皇着任第一声は、まさにフランシスコ教皇のスローガン、「私は貧しい人々による貧しい人々のための教会を望む」という力強い言葉でした。教皇になる前のブエノスアイレスの司教時代には、「私たちは、世界で最も不平等な地域に暮らしており、最も豊かな土地であったが、無残に没落した」と嘆き、身近に存在する、大きな社会的格差を非難しています。

このように現実社会を直視し、その改革に熱意を燃やすフランシスコ教皇は、人々に "より開かれた" 教会を目指しています。

その表れとして、教皇は、昨年、カトリックのカレンダーでは重要な「無原罪の聖マリアの祭日」である12月8日からおよそ1年間を特別な年として、人々が神のいつくしみに気づくよう、祈りと償いの心を持って生きるよう勧められています。

「人類は決して平和を見つけることはできない。神のいつくしみを信じるまでは」。これは、今世紀初め、聖人となった、ある修道女の言葉です。