子ども時代に食べたものも、なつかしいものです。私にとって土佐の「皿鉢料理」はその代表です。冠婚葬祭を自宅で行っていた昔は、「皿鉢料理」も親類の女性たちが総出で手作りし、大広間にずらりと並べて宴会が始まりました。「鰹のたたき」にふんだんに使われた「青じそ」は、なつかしい土佐の夏の香りです。
そして最高になつかしいのは、身近な家族や親友、そして恩師たちの思い出です。その何人かは既に天に召されてこの世にいません。だから余計切なく、なつかしいのです。お世話になった人たちに何も恩返しが出来なかった事を悔いて彼らのために祈る時、胸の奥に感じる平和な安らぎは、懐かしさに満ちています。
その不思議な懐かしさ・・・、それはいのちの源、魂の故郷への郷愁なのかもしれません。愛し、愛された人々と共に、神さまの愛のみ手に包まれて生きる天国の永遠の幸せを願わずにはいられません。