アンはその美しい村を一目で好きになり、満ち足りた気持になった。本来自分がいるべき場所はここであり、ついに帰って来たのだと感じたのである。アンの魂にとっては、アヴォンリーが本当の故郷だったのだ。
人に与えられている魂は、何と鮮やかな働きをすることだろうか。アンの魂は、この村に幸福があることを、すでに「なつかしい」故郷であることを、言葉を使わないでアンに伝えているのである。
自分にとって「帰って行ける場所」を持っている人と出会った時、私たちはその人を「なつかしい」人だと思う。その人の中に、自分の魂が安らぐ故郷があり、また自分の中にも、その人の魂を暖かく迎える部屋があると感じるのだろう。
ささやかなものであっても、なつかしいと思える何かを持っている人は幸福である。そこには魂の深い働きがあるからだ。人に魂が与えられていることの限りなさを、感謝のうちに思っている。