戦後70年の今年、80代90代の人生の先輩から、そんな懐かしい大切な話を沢山伺うことが出来ました。学童疎開での苦労話の中にクスッと笑えるような、子供達ならではのエピソードがひそんでいたり、バケツリレーや灯火管制、空襲警報など、御近所同士が助け合い、互いの年齢や健康を気遣っていたわる姿は、まさに懐かしい昭和の日本人の気質がよく現われていて、思わず身を乗り出して聞き入りました。人間は共通の困難をかかえている時の方が、優しくなれるのでしょうか。
戦後、経済大国への道を一途に進んできた50年あまりには、東京五輪や大阪万博など輝かしい歴史的な出来事や、60年安保闘争と続く大学紛争などの事件もありましたが、思い出ではあっても懐かしむという内容ではありません。
かえって阪神淡路大震災前の関西の風景が、家族にとって思い出の地であるため懐かしく、20年後に再訪して復興の姿を目の当たりにすると、しみじみ感謝の気持ちがわいてきます。なつかしいとは心を込めて体験した事に対して、持てる感情のようです。