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なつかしい

古川 利雅 神父

今日の心の糧イメージ

電車に乗り、日常の雑踏を離れ、西へ西へ。窓の外を眺めていると、次第次第に街並みもまばらになり、家も少なくなり、草木が多くなり、自然の中をひたすら走っていく。様々に移り変わっていく景色の中で、どこかで見た様な光景が広がってゆく・・・。その様な中で私たちの心が揺れ、なつかしさが込み上げてくる。今、私をつつんでくれる景色、今の時が心地よさとなって、私の心を揺する。

なつかしさの中、風景や景色だけでなく、私たちが出会い、生き、ともに過ごした人々のことが思い出される。走馬灯の様に多くの人々のことが浮かぶ。今、どうしているのだろう。そんな中で過ごすひと時は、私たちにとって、かけがえのない時の様にも思います。大切な存在に思いを馳せる、思いを向ける。

11月、カトリック教会は、教会の暦の一年の終わりの月を迎え、神様のみ元に召された聖人を祝い、亡くなられた死者の方々のことを想い、彼らの永遠の安息のために祈ります。私たちも彼らの後を辿って、神のもとへと向かって歩んでいることを、思い起こしながら。

なつかしい・・・・心に浮かぶ思いを大切に、これまで出会った方々のことを思い起こし、しばし時を過ごしては如何でしょうか。 それはその方を大切な存在として受け止めること。大切な存在として、しっかりと受け止めてゆくとき、私たちは、私たちを大切な存在として受け止めて下さる神様に心を開いて、神様の懐へ飛び込んでゆくことができるのでしょうね。

母の腕の中にまどろむ子どもの様に、神のうちに憩う。それは私たちにとって、なつかしいひとときなのかも知れません。天国へのノスタルジーのうちに歩んでいる私たちにとって。そして神が愛しておられるすべての人々にとって。