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共にいる神

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

2011年、年の瀬、私は東日本大震災の被災者支援のために宮城県北部の米川ベースに行きました。津波で甚大な被害を受けた南三陸町への支援を行っている所です。

私の主な役割はベースを拠点として支援作業に出かける他のボランティアの人たちの後方支援でしたが、時には漁業支援のお手伝いに行く機会もいただきました。

車中から私は、初めて震災の凄惨な光景を目の当たりにして、あまりの大変さに大きなショックを受けました。

私たちは、重い定置網の綱をハサミで切るなど、地道なお手伝いをさせていただきました。その時、大震災で立ち上がれない程の痛みを味わわれた漁師さんの1人が、ボランティアの1人ひとりと握手をしてくださり、「1時は年を越せるとも思っていなかった。いい年にしてくれてありがとうね」と、声を詰まらせながらお礼を言ってくださいました。この出会いは、私にとって忘れ得ぬものとなりました。今も、思い出す度に涙がこぼれます。

災害や不条理な出来事によって苦しむ人々と出会う時、私は、「どうしてこんな惨いことが起きるのか」とわからなくなります。しかし、この漁師さんの他人を思う温かい心と強さ、前向きな生き方を思うと、その中に、「いつも共にいる」と約束される主キリストがやはりおられるのだと感じざるを得ません。主は、苦しむ人々の痛みに共感し、共に担い、共に泣き、「一緒に生きていこう」と支え続けてくださっているのだと心から実感した体験でした。

滞在中、南三陸町の瓦礫の中から小さなキリスト像が見つかりました。そのキリスト像の発見は、どんな状況下にあっても「共にいる」神様のメッセージの象徴のように、私には感じられました。