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美しいものを思い描くと・・・

土屋 至

今日の心の糧イメージ

ヨガのインストラクターをしている友人にこんなことを教わった。

「毎日夜寝る前に、目をつぶって美しいものを10個まぶたの裏に思い描く。そうすると瞳が美しくなるんだよ。目をつぶって、まぶたの裏のスクリーンにちょうどスライドを1枚1枚映しだしていくようにするんだ。できたら呼吸に合わせてスライドを変えていくといいよ。」

瞳の美しさは数量化できないから、この話に科学的根拠はないと思うが、こういうまことしやかさはステキだ。

この友人の勧めに従って、夜寝る前に、その日の自分を振り返りながら、美しいものを映し出すことをするようにしているが、私の瞳が美しくなったかどうかはわからない。

何か美しいものを思い描くファンタジーや想像力は瞳の美しさだけでなく、心の美しさにも関わっているにちがいない。

私は学校の「宗教」や「倫理」の授業の前に、これをとりいれた「瞑想」を生徒とともに行うことにした。

姿勢をただし、呼吸を整え、心と体をリラックスしたあとに、美しいものや心を動かしたことを思い描いたり、今日食べたものの味を味わいなおしたり、聞こえてくる音や自分の体に触れているもののはだ触りに意識を集中したり、この1週間に出会った人の笑顔を思い起こしたりした。いずれも五感を鋭敏に研ぎ澄まし、ふだんほとんど意識することのない感覚を呼び起こすことになる作業である。

生徒には「瞳と心を美しくするためにするんだよ」と説明することにしている。これはどこか祈りに共通している。祈りのなかで、願うこと、感謝すること、自分の過ちのゆるしを願うこと、神をたたえることも、きっと心を美しくしているにちがいないと思うのである。