
子育て中に、自分自身に腹が立つこともある。「わたしはもっと理想的なよい父親、よい母親になれるはず」という自分への期待が裏切られるとき、わたしたちは自分自身に腹を立てるのだ。だが、わたしたちはそんなに立派な親になれるはずの人間なのだろうか。背伸びするのをやめ、自分の限界を受け入れられれば、自分へのいら立ちは消えてゆくに違いない。
ストレスをなくす一番確実な方法は、すべてを自分の思った通りにしたいと願う傲慢な心を捨て、謙遜な心であるがままの相手、あるがままの自分自身を受け入れることだ。心にストレスがたまったときには、「わたしは相手に、あるいは自分自身に、過剰な期待をしていないだろうか」と自分に問いかけてみたい。

人は不幸な時ほど、笑いを必要とする。笑いは、不幸に閉じ込められた状況をすぐ幸福に作り変えはしないが、少なくとも、幸福の方角に大きく窓を開ける。良き笑いは、人間の愚かさや至らなさを露わにしながら、誰も傷つけない。自分たちのありのままを受け入れて、何とかやっていく勇気を与えてくれるものである。笑うことで、人は日々の厄介なストレスをいなしていけるのではないだろうか。私自身もストレスが溜まって疲れた時など、ユーモアのこもった祖母の一言が、生きる楽しさの方向へ大きく窓を開けてくれたことを思い出す。