その時、私を救ってくれたのが聖なる本であった。持参していた『奇跡の泉ルルドへ』と『聖ヨゼフに祈る』であった。
繰り返し繰り返し、暗記するほど読み続けた。まるで自分がルルドへ行っているかのような気持ちになり、マリアさまにすっぽり抱かれているような安らかさに包まれた。
また、ヨゼフさまがベッド脇におられて、私を見守ってくださっているかのような力強さも感じた。
今思えば、手術前後の10日間の絶食のストレスも、聖なる本のおかげで救われた。
今、私の書斎の机の脇の本棚には、200冊以上の聖なる本が並び、私をやさしく励ましてくれている。
『聖人事典』、「ファチマの牧童』、『アシジの聖フランシスコ』『ピオ神父と守護の天使』、『マザー・テレサ』・・・。
背表紙を眺めているだけで心がいやされる。
現在は小康状態であるが、5年間の経過観察の途中でひょっとしたら再発するかもしれないという不安はぬぐえない。でも、もしまた入院手術となったとしても、これらの聖なる本をたずさえていれば、きっとイエズス、マリア、ヨゼフさまが傍にいてくださるだろう。