帰国後、最後の大きな宿題のような気がして、この7年半の留学生活の体験を纏めて本を出版しました。大学と大学院で学んだ障害者や高齢者の生きがいを助けるケア、特に認知症ケアの実習体験が拙著を通して、また話を通して何らかのお役に立つことを願っています。
さて、傘寿を迎えた私は今、しみじみ思うのです。あの時、娘たちと一緒に帰国するはずだったのに「そうすれば70歳になった時、私はきっと後悔するだろう!」と強く思いました。しかし1人で残るのは不安で迷っていた折も折、亡き夫の長年の友人で日本人ご夫妻が他の州から近くに越してきたことを知り、夫に背中を押された気がしてアメリカで一人勉強を続ける決心をしたのです。あの時、安易に娘たちと帰国していたら、その後の新しい学びや出会いの喜びや感動など素晴らしいことは何一つ起らなかったことでしょう。
人生の岐路に立つ時、それが厳しい道と分かっても恐れずに、自分の心の奥の望みに従うと、必要な助けは必ず与えられることを私は今も感謝の内に学んでいます。