昨年の夏、大腸ガンの宣告を受けた時、母の言葉がよみがえってきた。
「ああ、自分にもついにやってきた。神さまに祈りつつ乗り越えなければ」と思った。
しかし、身体にメスが入ることは絶対イヤで、樹状細胞療法と、イメージ療法で治そうと考え、主治医にその旨伝えたところ、「このまま手術しなかったら余命1年!」とはっきりといわれた。
運命の岐路、生死の岐路に立たされて、私は考えた。1年。あと1年で一体何が出来るであろうか。何かに取り組んだとしてもすべて中途半端に終わるだろう。
と思うと、あれほど手術はイヤであったのに、手術の決心をしたのである。
やはり、死より生を選んだのである。
手術は無事終了し、私は元の生活に戻りつつある。手術半年後の経過観察は良好であった。あと4年半の経過観察が必要であるが、余命一年からはまぬがれた。
人間に生まれた限り、どの人間も死からのがれることはできない。いつ召されるか、それは神さましか知らない。
これからも再び、生死の岐路に立たされるかもしれないが、私は神さまが許してくださるのなら生を選びたい。あとの人生、後悔のないように毎日毎日を精一杯生きたい。