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天の国の鑑

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

ときどき、天の国を思わせるような出来事を耳にすることがあります。

これは十数年前に友人から聞いた話です。その頃友人は、一人暮らしの高齢者のために教会で準備した「食事会」を手伝っていました。その日、食事に来た人の中に、靴下をはいていない男性がいました。まだ寒い時期でしたので、それほど貧しい暮らしをなさっているのかと心配になり、話しかけると、こう言ったそうです。

「僕はもう靴下をはかないと決めたんだ。1年間、靴下を買わないと5000円になる。それをユニセフに寄付したら、子どもたちが栄養のある食事をとって、僕のように結核にならずにすむんだよ」と。友人は感動しました。男性はかなりお年を召しており、冬には靴下が絶対に必要な方でした。しかし、もう何年も彼は靴下を買わずに見知らぬ国の子どもたちに食事代を寄付していたのです。

このような思いは、人の自然な感情というよりも、私は天の国に住む聖なる方、神さまのお考えに近いと思います。

聖書には、2000年前に「人」として地上に来られたイエス・キリストのことがこう書かれています。「主は豊かであったのに、私たちのために貧しくなられた。それは、主の貧しさによって、私たちが豊かになるためだったのです」と。(2コリント8・9) 全知全能の神が、限界だらけの人間になられ、馬小屋でお生まれになった。しかもそれは私たちの罪を背負って、人間の代わりに償うためでした。罪のない方が、罪びとのために十字架にかかって命を捧げてくださったのです。それは私たちが幸せになるためです。

寒さを我慢して食事代を子供に寄付していた男性は、この天上的な愛を私に見せてくださいました。